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夏嫌いにハッカ風呂

 クーラーが壊れた彼女の部屋で、暑い暑いと文句を言いながら扇風機を独占していると、「お風呂に入ろうか」と彼女が立ち上がった。

 水風呂でもするつもりふだろうかと思ったら、ふつうにお湯を沸かし始める彼女。どういうつもりなんだと訝しみながらも、誘われるままに湯に足を入れると、熱さのあとにスーッとした心地よさが広がった。

「何だこれ」

 予想外の感覚に戸惑いながら、先に入っていた彼女を後ろから抱きしめるように全身を湯船の中に収める。

 すると、彼女は悪戯っぽく笑いながら、

「ハッカ油を数滴垂らしてみたの」

と。

 なるほど、このスースー感はメントールの仕業だったのか。


 

 

 このハッカ風呂、入浴中も気持ちよさもさることながら、浴室から出て扇風機の風にさらされた瞬間の爽快感が半端なかった。

 その帰り、ドラッグストアに寄って、さっそくハッカ油を購入した。大嫌いな夏がちょっとだけ好きになりそうだ。