その床を濡らすものは

 前髪のかかる額、ぐっと反らしたあご、咽仏の隆起がうつくし頸元くびもと、お風呂に入るときいつもお湯が溜まる鎖骨、陰になっている胸の谷間、その下のみぞおち、おへそ、下着から微かにのぞく腰骨、肉感のある太もも、足首に向かって急になっていくふくらはぎの斜面……。

 それらを順に伝った汗を、おれは舌で丁寧に舐めとる。

 そして、恥じるように身をよじる彼女に一言。

「だって、放っておいたら床が濡れてしまう」

 実際、床を濡らしそうなのは、汗ではないのだけれど。